副業と社会保険

GW長かったですね。ヒダ事務所は土日祝日はカレンダー通りお休みをいただき、私も実家の長野や夫の実家の広島など行ってゆっくりできました。

表題とは無関係ですが、帰省した際に国営アルプスあづみの公園のチューリップを見に行って、一番気に入ったチューリップをご紹介。

本当に美味しそう。花弁が半分開いている形が正にクリーム。舐めれそうでした。こういうチューリップもあるんですね。

1、二か所給与の留意事項

さて表題の件、GW前に日経の記事を読んでいたら、二か所給与をもらっている場合の社会保険に注意、というものがあったので私も考えてみました。副業推しの世の中ですが、他で給与をもらいながら自宅開業して個人の会社を作る場合には注意です。

通常気になるのは①源泉税 ②社会保険の2つだと思います。たとえばAさんが給与をもらっている会社が複数ある場合で、それぞれ単純に従業員として働く場合ははメインの会社とサブの会社を決めて、それぞれの会社の人事担当に「メインです」「サブです(他にメインの給与収入あります)」と言えば一応は済です。特に後述する社会保険を除き、源泉税は会社が勝手に計算してくれます。

①源泉税
Aさんが自分で会社を持っていながら他社でも働いている場合、通常はメインの会社を甲、サブの会社を乙として、源泉税の徴収票に記載の税額を各月納めればよいです。下記にリンクのある源泉徴収月額表を見てみてください。

給与所得の源泉税額徴収表(月額表)

甲というのが「メイン」、乙というのが「サブ」と読み替えてください。サブ(乙)の方が税金が高いですが、これは国が税金の取り漏れを防ぐ目的で事前に高く設定しているだけです。

2か所だろうか3か所だろうが、給与が2か所以上からある場合には確定申告をして源泉税を納めます。年末調整の対象ではない(仮に年末調整をやった会社があったとしても、それで完了ではない)ので注意です。

乙欄計算で取られすぎた税金がある場合は、確定申告をすることで戻ってきます(還付されるかどうかは合計所得によりますが)。

②社会保険 
Aさんが2か所の給与から社会保険をそれぞれ徴収されている場合には、後述する3、二か所で社会保険に加入している場合にしたがって、自分で健康保険をまとめる必要があります。

ここで問題なのが、Aさんが副業においても社会保険の適用対象者か否かです。

2、社会保険の適用対象者か否か

社会保険の適用対象者か否かの前に、そもそも副業で従事している企業(事業)が社会保険の適用事務所か否か…という判断があるのですが、個人事業でもない限りは基本的に社会保険の適用事務所です。Aさんが副業で設立した一人会社(一人だけで運営している株式会社、合同会社など)も社会保険の適用事務所ですので、ここではその判定は割愛します。

社会保険の適用事務所である会社(もしくは事業)に従事する場合、社会保険の適用対象者か否かは以下で判断されます。

① 1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上である方

②一般社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3未満であっても、下記の5要件を全て満たす方

  1. 週の所定労働時間が20時間以上あること
  2. 雇用期間が1年以上見込まれること
  3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
  4. 学生でないこと
  5. 常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

また、会社代表者(役員)はそもそも勤務時間の決まりなどはなく、24時間365日会社に勤務している(会社の事業を行っている)とみなされますので、自動的に社会保険の対象者です。

ただし社会保険は払う給与がない場合にはそこから計算する社会保険もありませんので、副業として会社を設立したがそこから払う役員給与は0円である場合には、社会保険料を払う必要はありません。

よって、Aさんが副業で1人会社を設立し、その1人会社から少しでも給与をもらえば自動的に社会保険に2か所入ることになります。

社会保険の適用事業所であって、社会保険に入る必要がある人は、所属する会社の担当の年金事業所に対して社会保険の適用手続きをします。その結果、一旦健康保険証は2枚になります(以降3で記載します)。

3、二か所で社会保険に加入している場合

社会保険に2か所入ると、それぞれの給与から社会保険料が引かれて納める必要がありますが、そうすると健康保険証が2枚となってしまいます。

年金保険料も、メインの会社は千葉年金事務所、サブの会社は群馬年金事務所・・・などと分かれてしまいます。

そこで、2以上の社会保険に入ってしまうことになった場合には、「2以上の社会保険に入ってしまってますよー」ということを行政機関に通知する必要があります。

具体的には、メインとする年金事務所を決めて、 「 健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届 」 をその年金事務所宛てに、自分で(Aさん自身が)提出します(日本年金機構説明ページ)。
なおこれはメインの会社もサブの会社も、両方とも協会けんぽが健康保険である場合の処理です。協会けんぽであるかどうかは健康保険証を見ればわかりますのでご確認ください。協会けんぽではない健康保険に入っている場合には、それぞれの健康保険組合へ問い合わせ、そこの指示に従った手続き必要です 。

2以上の社会保険に入っているということが国側でわかれば、あとは特に心配せずとも国側が処理してくれます。社会保険料は2社合算の給与に対して計算され、それぞれの会社で負担すべき社会保険料を通知してくれます。
メインの方に副業がばれたらまずい、という方は今やあまりいないのではと思いますが、もし副業がばれたくないという場合には、副業側から給与はもらわない or 上記2に記載の社会保険適用対象者にならないことが必要です(さらに確定申告で住民税のケアなどが必要です) 。

副業に限らず、一人でいくつかの会社を経営されている(いくつかの会社の代表者になっている方)は要注意です。社会保険料を払っていれば特に問題とされることはないと思いますが、2か所それぞれで計算した結果取られすぎ、もしくは徴収額が少ないと指摘されることもありますので今一度ご確認いただければと思います。

🌸 税理士法人ヒダへのお問い合わせはこちら

適格請求書保存方式 (消費税改正、区分記載請求書)

新元号が令和になりましたね。外国語表記はReiwaだそうです。×Leiwa
外務省は西暦表示を標準にする方針にするそうです。元号は時代の区切りっぽいので存続賛成ですが、実務は確かに面倒ですね。

さて、消費税改正が今年の10月に迫ってまいりました。大体は理解しているつもりですが、税理士会の研修などで細かい点をフォローしています。

消費税改正も今年の10月から(軽減税率)と、2023年の10月から(登録番号制&適格請求書方式)の2段構えなので、
とりあえず直近はは8%と10%の違いとタイミングだけ掴んでおけば特段問題はないのですが、請求書(レシート、Invoice)の方式について学んだのでシェアします。

今年の10月1日から軽減税率が適用されるにあたって、事業者が発行する請求書は「区分記載請求書」方式となります。
といってもそんなに構える必要はなくて、ざっくりいえば、
8%と10%の取引を区分して請求書を作ってね
っていうだけです。 そして引き続き請求書を保存してね、という。

区分して請求書を作るとはどういうことかと申しますと、たとえばスーパーで以下の買い物をしたとしたときの請求書はこういう形(例)

果物200円、刺身800円、乾電池400円(以上全て税抜き)の場合

果物216円
刺身864 円
以上8%対象 1,080 円

乾電池440円
以上10%対象 440円
合計1520円

こんな感じです。

全部一律に示して、軽減税率(8%対象)について印をつけてもいいです。
例えばこういう形↓

果物216円※
刺身864円※
乾電池440円
※8%対象1,080 10%対象440
合計1,520円

区分記載請求書方式では、「税率ごとに区分して合計した税込価格」を示すこととされているのでわかりやすいように項目別に税込で記載していますが、
★税抜の金額を合計して、税率別の消費税額を記載して小計で示しても勿論OKです(果物200円、8%対象消費税16円、小計216円というような)

具体的な品目ではなくて、軽減税率が適用されるものであることがわかる分類名で表記してもOKです。

食品216円※
食品864円※
生活用品440円
※8%対象1,080円 10%対象440円 
合計1520円

食品が8%なのはレシート見ればわかりますもんね。
部門1※216円、部門2 440円というような、社内での分類を使って表記するのはだめです。何を販売/購入したのかわからないのはだめと。今こういうレシートもあまり見ないのかなとは思いますが。

さて次に、手書きの領収書などはどうなるでしょうか。
例えば鮨店に行ってその場で10,000円分の食事をして、お土産で3,000円のお持たせを購入した場合、今までなら1枚の領収書に「食事代 13,000円(税込)」というような記載がされたのだと思いますが、領収書も区分して記載する必要があるのでしょうか。

「区分記載請求書」保存方式といわれている以上、区分して記載するのが正解です。
手書きの領収書の場合には、お店側で「うち軽減税率対象 3,000円(税込)」などと追記してもらう必要があります。
お店側が記載してくれなかった場合には受け取った側が追記することも勿論できますが、受け取った側がなんでもかんでも記載していると本当にそれが正しいのかどうか、税務調査などで議論の的になることも考えられますので、なるべくお店側に記載していただく方がいいでしょう。

上記を勘案すればスーパーやコンビニなどでレシートの他に領収書を別途もらう場合がありますが、できればレシートの方がいいのではと思われます (領収書をもらったらレシートとともに保存した方がよい) 。
そもそも合計だけの領収書は税務上請求書の保存としては不適当である場合が多いので、税制改正にかかわらずレシートがもらえるならレシートを保存しておく方がいいです。

2023年から開始される適格請求書方式では、区分記載請求書方式との相違点は以下のとおりです。

①請求書発行事業者の登録番号を記載する
②適用税率と適用税率ごとの消費税額を記載する
③請求書を受け取る者の氏名または名称を記載しないと罰則になる(領収書の宛名が空欄だったり、上様などと書くのは禁止)

①について、課税事業者は全て事前に、課税事業者の登録番号を申請しなければならなくなります。そして、請求書にその登録番号を記載しないと正式な請求書として認められなくなります。
※補足
免税事業者は登録番号の申請はありませんので、書く必要も登録することもありませんが、商品やサービスを受け取った側が課税事業者の場合、免税事業者からの購入/サービスの提供については税額控除がとれなくなります(仕入の消費税はないものとみなされる)。 また、免税事業者は消費税を記載した請求書は発行できません(消費税分を料金に含めてもいいが、消費税とは書けない)。課税事業者が登録番号を取得しないと、また請求書に登録番号を記載していないと、その請求書は仕入税額控除の対象とならないので注意が必要です。

②については、上記の★印の部分を参照してください。初めから適格請求書方式を念頭において、税抜表示+適用税率+適用税率ごとの消費税額を記載していれば、2023年から変更することを考えなくてよくて楽ですね。

③について、罰則規定が設けられるのが新しいです。交付した側が罰則を受けます。

適格請求書方式は2023年からですが、新たにレジだのシステムだのを導入する際は区分記載請求書ではなくて適格請求書方式を念頭にした方がいいですね。そうすれば区分記載方式の方も自動的に満たします。

Excelなどで請求書を自作されている場合は、記載内容について一度顧問税理士などと相談されるのがよろしいかと思います。

税理士法人ヒダへのお問い合わせはこちら

🌸Please ask us, Hida and Company. If you have any, click here.

上場株式配当の申告不要制度(確定申告・住民税)

今日は村役場へ自分の確定申告書、国税ではなくて住民税の方を提出しに行ってきました。

表題の件、上場株式配当の申告不要制度を使って、住民税は申告不要にしたかったら→国税と住民税とで異なる課税方式を採用し、住民税の金額を少なくしたかったからです。

昨年度末あたりから、会計監査ジャーナル、税理士会の研修、通知等々で、「上場株式の配当等について、確定申告において国税と住民税とで異なる課税方式を採用することができることが明確化された」と記載されていて、それなら自分でまずやってみようということでトライしてみました。

通常、個人の確定申告は税務署に確定申告書を提出して終わりですが、実際にはこの確定申告は国税のための申告です。そして、税務署に提出された確定申告書は、申告者の住所のある市区町村にデータが転送され、そこで住民税の計算がなされます。

つまり国税の申告書を出しておけば住民税の計算は市区町村が勝手にやってくれるわけです。そして会社員なら会社経由で、5-6月頃住民税の決定通知書が送られてくると。

実際には、市区町村には「都道府県民税・市町村民税申告書(住民税の申告書)」というのが設置されています。使うことが殆どないためか存在があまり知られていませんが、法人決算よろしく個人の場合も実際には国と地方でそれぞれ確定申告書があるんですね。
通常、国税の確定申告書を提出することで、住民税の申告書は提出不要となっています。基本的に税金計算をするための基礎データが同じため、わざわざ2方向に出さなくてもよい仕組みです。これはこれで有難い。

さて、ここで上場会社の配当等の申告不要制度ですが、

通常上場会社の配当には20.315%の源泉徴収がされ、残りが入金されます(特定口座で取引している場合)。

内訳は国税15.315%、住民税5%です。

確定申告をする場合、配当所得の課税方式は全部で3パターンあります。

1、総合課税 
給与所得等他の所得など、総合課税対象の所得をぜーんぶ合算して、税金を算出する方法です。税率はそれらの所得合計によって決まります。

2、分離課税 
給与所得等の総合課税所得と、分離課税された所得とで別々の税率を用いて計算する方法です。総合課税所得の合算×税率+分離課税所得の税金=納税額

3、申告不要 
上場会社の配当については、そもそも申告不要とすることができます。
国税庁タックスアンサー 配当等を受け取ったとき

配当がある場合には、1~3までの課税方法の選択によって計算される税金額が違うので、有利不利が出てきます。
どれがいいかは個々人の所得と税率によりますが、ざっくりいえば、例えば所得が給与と配当だけの人の場合、給与所得+配当所得で計算した税率が15.315%よりも小さければ総合課税が有利です。
一方で給与所得がそもそも1,000万超の人(給与収入ではないのでご注意ください)などは所得税率が15.315%より大きいですから、配当については分離課税か申告不要制度を選択した方が有利です。

そして、国税で最も有利な選択をしたあと、住民税の方でもさらに有利な選択をすることができるというのが、今回のさらなるテーマです。

私が行った方法は、国税では総合課税→住民税では申告不要制度を使うというものです。

国税では15.315%とられていた源泉税のうち、総合課税の方が有利でしたので(総合課税の税率が15.315%未満)、確定申告することでいくらかを還付で取り戻し、
その後住民税において、通常そのまま何もしなければ10%+α(住民税の計算上、源泉税の住民税率5%よりも多い)の税率で計算されてしまうところ、住民税では配当はなかったことにしてください(配当所得は0円にして、住民税の税金計算から除いてください)というお願いです。

始めに記載したとおり、
「上場株式の配当等について、確定申告において国税と住民税とで異なる課税方式を採用することができる」ため、納税者にとって一番有利な方法をそれぞれ選択して、所得申告ができるのです。

なおこの方法、条文を読めば判断できることで以前より知っている人は知っていたものですが、市区町村の税務担当者によって対応はまちまちだったと聞いています。しかし、平成30年に総務省より各市区町村にはこの通達がされたようですので、今はどの市区町村でも認識・対応していると思います。

さて、実際自分でやってみての感想ですが…

正直、還付の金額が大してないのなら、国税出したあと住民税も申告書を出すなんて、わざわざそんな面倒なことをする必要はないのかなぁと。
実際私が得ている配当額は大した金額ではありませんので、数千円の住民税の還付のために村役場に事前電話連絡(上場配当の申告不要制度を使いたいので住民税の申告書がほしい)→別日に役所に出向いて自署押印していますが、この手間と移動のガソリン代をかけるだけの価値があるのかどうか…。

しかも、今回は役所側が大変親切で(多分私のところは人口が少ないのもあってこういう要求する人が殆どいないのだと思われますが)、税務課がわざわざ税務署から転送された私の確定申告書データをもとに、私の住民税の申告書を作成してあとは自署押印だけすればいいようにして待っていてくれましたが、通常は自身で確定申告書を基礎にちまちまと記入する作業があるかと思います。

上場株式の配当所得が結構多い、という方は税理士に相談などした方がよいですが、そうでない場合には税理士報酬(手間賃)をとられるくらいなら、自身で行うか(聞けば役所は対応してくれます)、多少の金額なら諦めてもいいのでは…とも思いました。

国税の申告書上で「これは住民税においてはどの申告制度を使いますか?」というような選択ができて、それを市区町村に転送してくれればいいのに…。

なお、確定申告の期日は3月15日までですが、還付だけなら3月15日を過ぎてもOKです。私と同じ手続きをされたい場合は、市区町村側で5~6月には住民税の計算&通知がありますので、遅くも4月中には役所に問い合わせされた方が無難だと思われます。

e-Tax 個人所得税の申告と税理士電子証明の紐づけ

あけましたおめでとうございます。

税理士会のHPを見ていたら、新年早々(平成31年1月4日から)、e-taxで個人の所得税のお知らせメールが電子証明を登録していないと読めないということが判明しました。

http://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/auth/メッセージボックスのセキュリティ強化に伴う委任関係の登録手続きについて

個人の方で電子申告をされているけど税理士にお任せで、自分は電子証明も持ってないし申告もしていないという方は、e-tax上で税理士の紐づけを行って、メッセージボックスの内容が見れるように設定しないといけません。

上記の状態に気付いて困るのは実際は個人の方じゃなくてその担当税理士だとは思うのですが…。

メッセージボックスのセキュリティ強化を目的として今回の措置がとられているそうですが、e-taxの方でこの紐づけ方法について説明されているのでこちらから入って確認、対応が必要です。

http://www.e-tax.nta.go.jp/kanbenka/msgbox_enhanced_security.htm

セキュリティの強化、、わかるんですが、面倒だなぁと思っちゃいますね。電子申告を普及させるためにはもっと簡単で使いやすい必要があると思うのですが、これくらいは仕方ないと思うべきなのでしょうか。

【年末調整】住宅ローン減税のニュース

住宅ローン減税で先日ニュース(住宅ローン控除で減税しすぎ)が出ていましたね。

年末調整の時期なのもあり、びくり!としましたが、

住宅ローン控除を受けるときに必要な初年度の確定申告時に、そもそも住宅ローン減税を受けられない人だったり、申告してきた金額が誤っていて是正すべきであった人に対して、税務署側がその点気づかず、申告された金額で処理したために誤った税金計算となってしまった→控除を多くしすぎた、ということのようです。

住宅ローン減税に関する今回の修正&追加納税について、対象となるのは基本的に

・住宅ローン取得時に贈与を受けた人で、

かつ

・その贈与を税制の特例を使って贈与税を非課税にした人

です。他にもいくつか是正すべき人の種類がいるようですが、最も多い誤りが上記のパターンだそうです。

住宅ローン減税は、個人が1年目の確定申告で提出した情報をもとに、2年目以降は年末調整で使うよう、「住宅借入金等特別控除申告書」というのが税務署からもらえるのですが、そもそも1年目で数字が間違っていた場合には年末調整で使うこの資料も訂正が入る可能性が高いです。そうすると遡って何年分かの所得税の申告修正ということになりそうです。

通常年末調整の修正というのは該当年の翌年1月31日までしか会社での修正義務はないはずなので、今回のケースは過去に遡って修正する場合でも、個人⇔税務署のやりとりとなると思っているのですが、企業側で修正をせよとなる可能性もあるのではと懸念しています。

住宅ローン減税とは別の話ではありますが、マイナンバーの成果か、税務署は年末調整でのミスも指摘してくる傾向があります。過去私が見た例では、

「平成XX年のXXXX氏の扶養控除の範囲が誤っていると思われますので、平成XX年の年末調整を修正し、算出した未納付額を納付してください」

という税務署から企業への通知がありました。扶養控除となる範囲を超えたアルバイト代を稼いだお子さんを扶養に入れていたところ、税務署側でこれは違う、と指摘されたものです。

所得税の徴収&納税義務が会社側にあるためということで会社側で対応しますが、年末調整は基本的に従業員の主張をもとに処理しているのですから・・・特に扶養の範囲というのは確認するになかなか難しいものがあります。
扶養の範囲については従業員側がきちんと源泉徴収票などで扶養者の所得を確認してもらうよう伝えていきたいですね。

税理士法人ヒダへのお問い合わせはこちら

🌸Please ask us, Hida and Company. If you have any, click here.

消費税の支払い額を小さくしたい?

来年始まる消費税の軽減税率制度の報道が増えている最近ですが、私の周りでは以前から、そもそも「消費税の負担が支払負担が大きい・・キャッシュアウトがつらい」という呟きをよく耳にします。特に設立3年目くらいからでしょうか、新規設立時の消費免税期間が過ぎて消費税の納付が必要になった企業など、決算後にどん!とくる、まとまった額の消費税の支払額の大きさに驚かれる方も多いのではないかと思います。

法人税の節税対策というのはよくありますが、消費税の節税対策というのはコレと言って殆どないんだよな、、と私なんかは思うのですが、いかがでしょう。

理由は、そもそも消費税は帳簿上だと「仮受消費税」なり「仮払消費税」と名前の付く通り、国からの「仮受」もしくは「仮払」=国に帰属するものであって、企業or個人がコントロールするものではないというのが原則だからです。

ただそんな消費税も、2つだけ、私が考える企業のキャッシュアウト負担を減らせる方法を記載します。

1つ目は消費税の「簡易課税制度」を採用した方が有利なケースです。実際の課税仕入額よりも、簡易課税制度が規定するみなし仕入率(40-90%、事業によって異なる))の方が大きければ、支払消費税を小さくできます。簡易課税制度が摘要できる企業の規模(基準期間の課税売上高5,000万以下)はありますし、業種によって規定されているみなし仕入率は通常の計算をした場合とおおむね同様か、もしくはそれよりも若干低い仕入控除割合を想定していると思われますので一概には言えませんが、中小企業は検討の余地ありです。

2つ目は、同じキャッシュアウトをするなら非課税や免税ではなく、課税仕入対応のキャッシュアウトを増やす方法です。特にサービス業など、支出費用の中で人件費の割合が多い会社などは、給与(不課税取引)を減らして福利厚生費(消費税が課税される取引である必要あり)を増加させることで、支払消費税を減らすことができます。

例えば、①給与20万をAさんに払うという取引を、②給与は18万を支払い、残り2万は福利厚生費(課税取引に限る)に使う とした場合、①も②も企業からのキャッシュアウトは20万円ですが、②の方では福利厚生費2万円に対する消費税、約1480円を課税仕入(仮払消費税)として消費税計算に使うことができます。

②の福利厚生費の具体例としては、例えば従業員が毎月払っているであろうスポーツジムの会費を法人契約にするだとか、会社の事業に関連した資格取得の予備校代を会社が払うとかそういったものが考えられます。

②のケースは従業員の給与が減る分、従業員の所得税、社会保険料負担も金額に応じて減りますので、とにかく税金を減らしたい!という人(従業員)と会社双方の意見が一致している(※)のであれば使える方法です。

※給与が大きいと保険料も高いですが、社会保険料のうち厚生年金保険については将来の年金額になりますので、あまりにも大胆な施策は将来の負担となりかねないという点には注意が必要です。

🌸税理士法人ヒダへのお問い合わせはこちら

🌸Please ask us, Hida and Company, if you have any, click here.

【確定申告or年末調整】確定拠出年金は所得控除の対象です

年末調整の時期ということで、先月末あたりから保険料控除のための資料が皆さまの自宅に届いているのではないかと思います。年末調整に携わっている時毎回思うのですが、

税金を安くしたいのなら生命保険をいっぱいかけるより、確定拠出年金(iDeko)の方がいい

と。

従業員の立場の方も、保険料控除等申告書をご自身で書いていたらわかると思うのですが、保険料の控除額は限度があります。年間8万円(旧制度なら10万円)までの保険料の支払いがあれば、所得税の控除額は最大4万円(旧制度なら5万円)になります。なので、保険料が年10万円だろうが20万円であろうが年末調整で使える保険の掛金は8万円(旧制度10万円)までです。税金を安くするためには8万円以上の保険料は使えません。

(ちなみに保険料控除は所得を小さくする”所得控除”でして、この所得は住民税の計算でもそのまま使いますので住民税も安くする効果がありますが、ここでは簡便的に所得税だけで説明させていただきます)

よって、もっと税金を安くしたい!保険は今入っているもので十分かむしろ多いかも!と思っている方は、最近は確定拠出年金(iDeco)に加入された方も多いのではと思います。

確定拠出年金(iDeko)は個人年金の種類の一つですが、年末調整においてiDecoは「小規模企業共済等掛金」であり、個人年金型保険は「生命保険」です。
つまり生命保険と個人型年金保険に入っている場合には、年末調整で使える所得控除は生命保険料控除だけですが(※)、

保険にもiDecoにも入っている人は、年末調整において保険料控除保険料控除+小規模企業共済等掛金控除の2つが使えることになります。

iDecoが分類されている小規模企業共済等掛金控除の所得税控除枠は、掛金丸々が所得控除の対象です。実際には掛金拠出限度額がありますので無制限ではありませんが、掛金で払った分はそのまま年末調整で使えます。

(※)生命保険料と個人年金保険は別々に控除額算定がされますので、2つに入っていれば最大8万円が所得控除の枠です。さらにiDecoに入っていると、8万+iDeco分の控除枠となります。

個人年金は運用の結果元本割れしそうで怖い…と思う方は、iDecoの運用先に定期預金を選べばよいと思います。定期預金で貯金しても税金は減りませんが、iDecoで貯金(掛金拠出)すれば税金は減ります。

iDecoは途中解約ができず、運用手数料も発生し、また年金として受け取るときには雑所得もしくは一時所得として税金がかかるというデメリットもありますので一概にお得だ、とはいえないのですが、

これも年金受給のタイミングを調整するなどして、iDecoに入った方がお得になる条件を考えて掛金を決められるのも一つ手ではあるかと思います。運用手数料も高くありませんので、一定程度の余裕資金がある方は定期預金に預けておくよりは、手元資金を増やす方法としては使える制度だなという認識です。

なお確定拠出年金は、始めようと思ってから手続きに約2か月程度かかりますので、今から始めても平成30年の年末調整には間に合わないのが残念なところ…。しかし今から手続きをとれば来年の1月スタートを目指せるはずです。

既にiDecoに加入されている方は、今年の年末調整で該当書類を会社に提出するのをお忘れなく!

🌸税理士法人ヒダへの問い合わせはこちら

🌸If you have any, please ask us, here.

 

 

【確定申告】ジムの年会費が医療費控除になる??

すっかり秋です。群馬はすっかり、しっかり秋です。朝晩は寒いです。

私の家は家電の殆どがレンタルなのですが、今年はオイルヒーターをレンタルしました。先週から大活躍。ちなみにレンタル期間は5月頃までを予定していますが、つまるところ年間のうち9か月は暖房器具が必要ということです。長野の実家でも炬燵は10月からGWまでは出ていますので、こんなものだと思っています。

さて、寒くなってくると外に出るのが億劫になりますね。ロコモティブシンドロームなどという言葉が出てきて久しいですが、私は9月からジムに通い始めています。東京でも行っていなかったジムに群馬で初挑戦。田舎は車社会なので、ただでさえ在宅勤務ということで運動量の激減状態に、これはまずい、と思いたって家の近所で探しました。

メディカルフィットネスぐんまなでしこ

名前とHPからして女性向けのように見えますが、男性も多く通ってらっしゃいます。

こちらは医療法人菊池内科クリニックが開設している内科付属のジムでして、メタボリック症候群の改善や健康増進を目的として、会員一人ひとりにあったメニューを提案してくれるのがウリです。

HPに「厚生労働大臣の認定健康増進施設」とありますが、これは厚労省が認めた運動型健康増進施設のことで、全国数多、該当施設は厚労省のこちらのページに記載されております。

この健康増進施設、リストの横に〇印がついている施設はその中でも利用料が所得税控除の対象(医療費控除の対象)になる施設です。この〇印がついている施設でなら誰でも、というわけではなく、医師の診断と指導に基づいて運動療法を行った場合(運動療法の処方せんと実施証明書を入手した場合)に限られますが。。これを見た瞬間は、私も医療費控除できる!と目を輝かせたのですが、やはりそんなに簡単にはいかないですね。

参考)日本健康スポーツ連盟のサイトの医療費控除までのフロー図

とはいえ普通のジムなら年間会費10万は超えるところが殆どかと思われ、メタボの指導を受けているとか、内科の指示で運動量を増やせといわれているとか心当たりのある方は、ジム料金を医療費控除として使えるかもしれないので要チェックです。

私が行っている「ぐんまなでしこ」はまだ医療費控除の対象施設ではないのですが、今年~来年には申請を出して対象施設にするというお話を聞いていますので、リスト上でまだ対象施設にはなっていないけれど近々対象になる、というジムもあるかもです。

お近くの施設を探して、問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

 

🌸税理士法人ヒダへのお問い合わせはこちら

🌸Please ask us, Hida and Company, if you have any, click here.

 

 

 

 

 

平成30年度末 年末調整(配偶者控除等申告書)

まだ10月ですが、早くも年の瀬を感じる時期・・・税理士法人は年末調整の時期です。

今年は「配偶者控除等申告書」というものが新しく登場しました。

昨年度まで会社従業員の方は、「扶養控除等(異動)申告書」と、「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の2枚が渡されて記入していたと思いますが、この「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「保険料控除等申告書」と「配偶者控除等申告書」の2枚に分割されました。理由はざっくり言いますと、配偶者控除の計算方法が細かくなったため、1枚の用紙では収まりきらないというものです。

ちなみにこの新しい用紙、年末調整やる側(給与部門や税理士側)としては、配偶者の年間所得見込みさえわかればよいです。従業員の給与見込みは会社がわかっているはずですので、通常給与システム使ってればこの数字は自動で算出されます。最終的な配偶者控除額も、従業員側で計算できなくても大丈夫です。

なので実務的には、従業員には配偶者の情報欄(名前や個人番号など)と、配偶者の合計所得金額(見積額)だけを最低限記載いただいて、あとは給与担当者側でチェックを含めて計算するという形でもよいのではと思います。

英語対応従業員の方のために、国税庁は英語の様式も用意しています。こちらからDLできます。

扶養控除等申告書(英語)Application for (Change in) Exemption for Dependents of Employment Income Earner

保険料控除等申告書(英語) Application for deduction for insurance premiums for employment income earner

配偶者控除等申告書(英語) Application for exemption for spouse of employment income earner

 

🌸税理士法人ヒダ問い合わせフォームはこちら

🌸If you have any questions, please ask us Hida and Company here

累積型配当優先株式の会計上の問題

今日は古橋さんからの質問で、累積型配当優先株式の問題をシェアします。

Q:累積型配当優先株式を発行している会社があります。会社は赤字で配当は出していませんが、この優先株式について未払の配当が事実上累積しています。一方この会社の銀行借入の契約において財務制限条項として配当の記述があります。累積型配当優先株にかかる累積配当(将来払うことになるであろう配当)は財務制限条項で検討すべき配当にあたるでしょうか。

A:剰余金の配当がそもそもできない状況にある(会社法上も残余財産規定に違反する配当は認めていない)ため、配当ではありません。よって財務制限条項がどのようなものかにもよりますが、通常違反にはならないはずです。

累積型配当優先株の配当が累積されている事実を会社は勿論認識をする必要はあると思います。
質問いただいた内容とは別問題かと思いますが、この累積配当を会計上どうするかは問題です。

・未払配当金かどうか:そもそも未払金は確定債務ですが、金額不確定のもの=配当の場合は議決権を経ていないもの、である以上確定債務である未払配当には該当しません。

・引当金かどうか:引当金の定義の「発生の可能性が高いかどうか」が問題になると思います。黒字化して配当制限を超える剰余金が溜まれば配当の可能性が高くなったとはいえると思いますが、その時は通常の配当よろしく決議で金額確定されたものが未払配当金として計上されるのみではないかと考えます。株主優待については優待引当金というのが公認会計士協会の研究報告で出されていますが、配当引当金というのは聞いたことがありませんし、今現時点で検索してみましたが出てきません。

・偶発債務かどうか:引当金でないなら偶発債務かどうかという検討の流れになりますが、以下のとおり通常偶発債務とは将来の「損失」につながりそうなものをさします。累積配当が偶発債務に該当しても注記するかしないかの問題なので、中小企業会計基準の下で処理されているなら注記も特に問題にはなりません。

財務諸表等規則 第 58 条1
偶発債務(債務の保証(債務の保証と同様の効果を有するものを含む。)、係争事件に係る賠償義務その他現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のあるものをいう。)がある場合には、その内容及び金額を注記しなければならない。ただし、重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる。

・常磐興産という上場会社が以前累積型配当優先株を発行していて、過去の累積配当を精算実施した例がありました。
http://www.joban-kosan.com/ir/financial/koukoku/1306/pdf/renketsu.pdf
累積配当を含め優先株への配当を決定した95期より前の期(累積中の期間)の注記には偶発債務としての記載はなく、引当金の注記もないことからどちらでも処理していないと思います。未払金に含まれている可能性までは否定できませんが、確定債務でもない以上未払金にも含まれていないと想像します。

優先株をめぐる会計上の処理については質問の会社以外も直面しているわけですが、現時点で調べた限りにおいてはBSや注記での処理をしている会社はないと考えられ、また配当は株主総会決議事項であることからも決議での支払決定を経ない配当を会計上処理する必要は今のところないと判断します。

備忘ですが、そもそも質問の会社の優先株はその株式の内容として、「平成XX年X月X日以降は自由に償還可能」ということが記載されています。世の中の優先株にはこのような償還可能条件を付けた株式が多々あるようですが、実態は資本というより負債に近いです(社債に近い)。
日本基準は法的性格を重視しているため今のところこのような優先株を通した出資は資本として計上されていますが、IFRSや米国会計では会計上負債に計上されるようです。よって今後IFRSにどの程度日本基準が寄っていくかによりますが、こういう優先株は資本ではなく負債になる可能性もあります。